代表の稲田礼子です。
本コラムは、私が日頃の産業医活動の中で行なっている講話から、一部をご紹介するものです。健康経営※に取り組む皆様のお役に立ちますと幸いです。
今回は冬の水分補給についてです。
人間の体の約60%は水分です。
毎日食べ物や飲み物などから2~2.5リットルの水分を摂取し、尿や便、汗などで同じくらいの量の水分を体から排出しています。これは季節が変わってもあまり変化ありません。
汗や尿で体の外に出ていく水分と飲食によって体の中に入る水分のバランスがとれることで、一定の量が保たれています。
水分は皮膚からの水分蒸発によっても外に出ていきます。
湿度が低く、乾燥する季節はこの水分蒸発が進むため、より水分が失われやすい傾向にあります。
また、夏に比べると喉の渇きを感じにくいため、水分を積極的にとらない人も多くなりがちです。
結果的に、体の外へと出ていく水分は多く、体の中に補給される水分は少なくなります。
知らず知らずのうちに体液が失われ、自覚のないまま脱水状態に陥ることを「かくれ脱水」といいます。
かくれ脱水を防ぐには
かくれ脱水を防ぐ基本は、こまめな水分補給です。
水分補給と同時に、乾燥から身を守り、水分の蒸発を防ぐということも今の時期は大切です。
乾燥しやすい冬は、室内の湿度を50~60%前後にキープすることが他の病気の予防にもつながります。最適な湿度を保つには、換気を定期的に行う、洗濯物の室内干し、加湿器を使用するなどの方法があります。
風邪対策に水分補給
風邪対策の王道であるうがい、手洗いに加えて「水分補給」も大事な予防策のひとつです。
風邪やインフルエンザの原因となるウイルスは、乾燥した状態で活発に活動します。
反対に湿度50%以上になると活動が急激に低下します。
水分補給は喉や鼻の粘膜をうるおしてウイルスの侵入を防ぐと同時に、侵入したウイルスを痰や鼻水によって体外に排出する作用を助けます。
また風邪をひいてしまったら発熱や食欲低下、下痢、嘔吐などの症状により体からの水分排出が多くなりますので、普段以上にきちんと水分を補給するようにしましょう。
※健康経営は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。