本コラムは、日頃の産業医活動の中で行なっている講話から、一部をご紹介するものです。健康経営※に取り組む皆様のお役に立ちますと幸いです。
私たちは普段の食事で、炭水化物や脂質、たんぱく質、食物繊維など様々な栄養素を摂取しています。それぞれの栄養素がどのような役割を果たしているかご存知でしょうか?
今回は「たんぱく質」についての講話内容をご紹介します。
皆さんがたんぱく質の役割について興味を持ち、普段の食生活の振り返りになれば幸いです。
たんぱく質は「最も重要なもの」
たんぱく質は英語でプロテインですが、プロテインの語源はギリシャ語で「プロティオス」と言います。プロティオスには「最も重要な物」という意味があります。
たんぱく質は古くから重要な栄養素として位置付けられてきました。
筋肉だけではないたんぱく質の役割
筋肉量を増やしたい人が筋トレ後にプロテインを飲むように、たんぱく質といえば、筋肉をつくる栄養素とイメージしている方も多いのではないでしょうか。
実は、下のイラストに示すように、頭からつま先まで、私たちの身体のあらゆるものはたんぱく質で構成されています。
例えば、脳内の神経伝達物質であるセロトニンなどもたんぱく質から作られており、たんぱく質が不足すると、集中力や意欲低下を招く恐れがあります。
またウィルスや細菌と戦う抗体もたんぱく質からできているので、たんぱく質が不足することで、免疫力が低下し、感染症リスクが高まってしまいます。
1日に必要なたんぱく質の量
「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、1日のたんぱく質摂取推奨量を、成人男性は1日65g、成人女性は1日50gとしています。
簡単な目安として、「手ばかり」で大体のたんぱく質目安を把握する方法があります。
主なたんぱく質源となる肉や魚、大豆製品、卵をそれぞれ片手のひらにのる量、手のひらの厚さ分ずつ食べると、1日に必要なタンパク質の量摂取することができます。
ただし、同じ片手のひらの量でも、選ぶ食材によって、含まれているたんぱく質量が異なるので注意が必要です。
例えば鶏肉の場合、皮付きの鶏もも肉は脂質も多く含まれているため、脂質が少ない鶏ささみ肉や鶏むね肉の方が、同じ片手のひら分でも、よりたんぱく質をしっかりと摂取することができます。
豆腐の場合は、絹ごし豆腐よりも木綿豆腐の方がややたんぱく質量が多いです。
また、肉や魚には量が劣りますが、そばや長芋などにもたんぱく質が含まれています。
皆さんがよく食べている食材に、どれくらいたんぱく質が含まれているかを調べてみるのも良いでしょう。
食生活習慣を改善したい方は、始めの一歩として普段の食生活を振り返ってみましょう。
※健康経営は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。