代表の稲田礼子です。
本コラムは、私が日頃の産業医活動の中で行なっている講話から、一部をご紹介するものです。健康経営※に取り組む皆様のお役に立ちますと幸いです。
新入社員は学校を卒業し、初めて社会に出る時期で環境の著しい変化があります。社会人としての規範を身に着け実行し、友人関係とは異なる上司・先輩・同僚という新しい人間関係にうまく対処することも必要となります。好きな人とばかりではなく、気の合わない人や苦手な人とも上手くやらなくてはなりません。入社前の仕事へのイメージと、入社直後に直面する現実とのギャップにストレスを感じる人もいます。リモートワークや在宅勤務によって周囲の様子が見えずに不安や孤独を感じる人もいるでしょう。このため、適応障害などが生じがちで、実際にうまく適応できず早期離職につながってしまうケースも少なくありません。
新入社員のメンタルヘルス不調を未然に防ぐには、社員自身が行う「セルフケア」、上司等の管理職が行う「ラインケア」が重要です。メンタルヘルスの不調予防・早期発見に寄与するラインケアでは、日頃のマネジメントの中で「いつもと違う」に気づいて、医療につなげるがセオリーですが、新入社員や中途入社、部署異動で新しく来られた方等は「いつもと違う」の把握が難しい部分もあります。大きな環境の変化になるときをハイリスク期ととらえ、そうした社員の適応をサポートするためのアプローチとして対応することが望まれます。
事業所は、新入社員から自律的に相談しやすい仕組みを作ってみてください。
※健康経営は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。