本コラムは、日頃の産業医活動の中で行なっている講話から、一部をご紹介するものです。健康経営※に取り組む皆様のお役に立ちますと幸いです。
歯周病とは
歯周病とは、プラーク(歯垢)の中の細菌の毒素によって歯肉に炎症をひき起こし、歯の周りの歯ぐき(歯肉)や、歯を支える骨などが溶けてしまう病気です。
初期の段階では自覚症状ほとんどなく、歯周病が進行するにつれて、腫れや出血、歯のぐらつきといった症状が顕著になっていきます。
次のような症状がないか、セルフチェックをしてみましょう。
- 朝起きたときに、口のなかがネバネバする。
- 歯みがきのときに出血する。
- 硬いものが噛みにくい。
- 口臭が気になる。
- 歯肉がときどき腫れる。
- 歯肉が下がって、歯と歯の間にすきまができてきた。
- 歯がグラグラする。
歯周病予防の重要性
「世界で最も一般的に蔓延している感染症」としてギネスブックにも認定されており、日本人の有病率も20代後半で30%を越え、50代以上では2人に1人と非常に身近な疾患と言えます。
図1 歯周ポケットの保有者割合
2018年に全国2,345の歯科医院で行われた全国抜歯原因調査によると、歯を失う最大の原因は歯周病であり、その他の調査や研究においても糖尿病や肥満との関連、脳梗塞や心筋梗塞、誤嚥性肺炎の原因となるなど、全身に様々な影響があることが示されています。
歯周病の治療や予防
歯周病の予防や治療では、プラークコントロールが重要です。
毎日の歯磨きでは、デンタルフロスや歯間ブラシを使って歯と歯の間も清掃しましょう。
隙間の小さいところにはデンタルフロス、隙間の大きいところには歯間ブラシが有効です。
また、日本歯周病学会では、3~6ヶ月に1度の定期健診が推奨されており、定期的なプロフェッショナルケアも取り入れることが大切です。
自分の状態にあったセルフケアを行うことはもちろん、プロフェッショナルケアも取り入れて健康な歯を目指しましょう。
※健康経営は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。
参考:
- 厚生労働省2016年 歯科疾患実態調査結果
- 厚生労働省e-ヘルスネット 歯の喪失の原因