アルコールとの上手な付き合い方(産業衛生シリーズ)

本コラムは、日頃の産業医活動の中で行なっている講話から、一部をご紹介するものです。健康経営※に取り組む皆様のお役に立ちますと幸いです。

 

今回はアルコールとの上手な付き合い方についてです。

 

アルコールが及ぼす健康障害

不適切な飲酒は健康障害等に繋がることは皆さんご承知かと思いますが、世界保健機関(WHO)は今年の6月にアルコールに関する重要な事実として、リスクのないアルコール摂取方法はなく、少量のアルコール摂取でもある程度のリスクがあり、害を及ぼす可能性があることを報告しています。飲酒は200以上もの病気、傷害、その他の健康状態の原因となっているとの報告もあり、特に症状が重篤になるものは以下の4つです。

 

  • 肝臓の障害:アルコールの過剰摂取から脂肪肝→アルコール性肝炎→肝硬変→肝臓がんなど徐々に状態の悪化をたどります。自覚症状が出るころには手遅れになることもあるため、定期健康診断から精密検査で早期発見早期治療が重要です。
  • 脳の障害:慢性的にアルコールを過剰摂取する場合、うつ病やアルコール依存症、脳が委縮することによる認知症などを発症することがあります。
  • 膵臓の障害:多量の飲酒により急性膵炎による激しい腹痛や、慢性的な飲酒により慢性膵炎を発症します。慢性膵炎から糖尿病の発生も起こりえます。
  • がんの発症:肝臓がんだけでなく、口腔内がん、咽頭がん、喉頭がん、食道がん、直腸、結腸がんおよび乳がんの危険因子です。飲酒後に顔が赤くなる人はアルコールの代謝酵素活性が弱いタイプで、上部消化管がん(食道がん)リスクが高くなるデータがあります。

健康に配慮した適正な飲酒量

お酒に含まれるアルコールの濃さは種類により異なり、体への影響は飲んだお酒の量ではなく、摂取した純アルコールの量が基準になります。厚生労働省からは「節度ある適度な飲酒」として1日平均純アルコール量が約20g程度としていますが、年齢や性別、体質の違いなどから身体への影響も異なる部分があります。まずはお酒に含まれる純アルコール量を知り、自分に合った飲酒量を確認することが大切です。

 

お酒に含まれる純アルコール量は、以下の計算式で算出することができます。

純アルコール量 (g)=摂取量 (ml) × アルコール濃度 (度数/100) × 0.8 (アルコール比重)

例)ビール (500ml缶) でアルコール度数が5%の場合、500×0.05×0.8=20g

 

「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」の公表

厚生労働省では、アルコール健康障害の発生防止や、アルコール問題への関心と理解を深め、適切な飲酒量・飲酒行動のために活用されることを目的に、「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」(厚生労働省)を令和6年2月に公表しました。あらかじめ量を決めて飲酒をする、飲酒中に食事をとることや合間に水を飲むなど、健康に配慮した飲酒の仕方を推奨しています。

アルコールが及ぼす身体への影響は個人差があるため、自分にとっての適量やペースを守って上手にアルコールと付き合いましょう。
 

関連する以前の記事はこちら
秋の健康診断に向けて 第4弾「肝機能」(産業衛生講話シリーズ)

 

参考:
1 健康に配慮した飲酒に関するガイドラインについて 厚生労働省
2 Alcohol World Health Organization

※健康経営は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。

 

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