本コラムは、日頃の産業医活動の中で行なっている講話から、一部をご紹介するものです。健康経営※に取り組む皆様のお役に立ちますと幸いです。
今回は「二日酔い」についてご紹介します。
二日酔いとは、お酒を飲んだことで起こる肉体的、精神的に不快な症状のことです。
詳しくは下記2つに分けられます。
悪酔い :飲んだあと比較的早い時間(血中アルコール濃度が高いとき)に起こる症状
二日酔い:血中アルコール濃度が低くなるか、ほとんど消えた翌朝になってもまだ見られる不快な症状のこと
二日酔いの原因
お酒を大量に飲むと肝臓がアルコールを処理できなくなり、代謝を行う過程で毒性の強いアセトアルデヒドがたまってくると、吐き気、嘔吐、頭痛、胃痛、悪寒などの症状が生じます。アセトアルデヒドの分解が遅い体質である場合は、少量の飲酒でフラッシング反応(顔が赤くなる、吐き気、動悸がする、眠くなる)や二日酔いを起こします。
また、アルコールを分解する際に水が使用されるため、気づかないうちに体が脱水症状となり、加えて、アルコールやアセトアルデヒトが分解された結果、水分が体外に生成されるため利尿作用が促進され、体内のカリウムも大量に奪われます。
二日酔いを防ぐために
悪酔いや二日酔いは体内に入ったアルコールの量が問題となります。
▼アルコールの取り方に気を付ける
飲酒量を抑え、一杯にゆっくり時間をかけて飲みましょう。アルコール分の強いお酒を飲むときは、必ずコップ一杯分の水を飲む習慣をつけましょう。
▼食事のとり方に気を付ける
お酒を飲むと食べ物よりもアルコールの分解が優先されるため、食事でとった糖質や脂質が消費されにくくなります。 食べながら飲むことでアルコールはゆっくり吸収され、血中アルコール濃度の上昇も抑えられます。アルコールを取る際は、空腹をさけ、肴には低エネルギー、低脂肪のものを選びましょう。たんぱく質を取り、胃の負担になる肴は避けましょう。
▼タバコは吸わないこと
タバコの煙にもアセトアルデヒドが含まれています。喫煙によって毒素であるアセトアルデヒドが溜まると、二日酔いの症状があらわれやすくなります。
二日酔いの対処法
▼市販薬を飲む
二日酔い用の胃腸薬等を飲むことでも大きな効果があります。
▼水分補給をする
何かお腹に入れるなら、まずは果汁100%のジュースなどを摂りましょう。アルコールの分解によって不足している水分と、肝臓の働きのエネルギーとなる糖分を手軽に補うことができます。
▼回復を早める食事をする
しじみは、肝臓で作られる胆汁の分泌を促し、アルコールの代謝機能を助けるアミノ酸やビタミンB12が豊富であるため二日酔いの回復を早めます。
▼代謝を促す
お風呂に入ると血行がよくなり、体の中でのアルコールなどの分解も活発になります。
十分に水分を取った上で汗をかいて代謝を促し、アルコール成分を体外に排出しましょう。
肝臓がアルコールを代謝する能力には限界があります。通常、健康な人が1時間に分解できるアルコール量は、体重1kg あたり約0.1gです。体重60 kg の人ならば、1時間6g、3時間では約20gのアルコールが代謝できる計算になります。
20g程度のアルコールを含む酒量はアルコール飲料の「1単位」とされ、「健康的な飲酒」の適量とされています。ビールなら中瓶1本、日本酒なら1合、ワインなら小グラス2杯が目安です。
今年も残りわずかとなりました。
忘年会など飲酒の機会も増えますが、健康を考えた適正飲酒で楽しく良いコミュニケーションをはかりましょう!
※健康経営は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。