ストレスチェック制度は、個人へのフィードバック、職場環境改善という大きく2つの目的のために制定されました。2015年から、従業員数が50人以上の事業所では、ストレスチェックの実施が義務づけられています。
ストレスチェック制度は、定期的に労働者のストレスの状況について検査を行い、本人にその結果を通知して自らのストレスの状況について気付きを促し、個人のメンタルヘルス不調のリスクを低減させるとともに、検査結果を集団的に分析し、職場環境の改善につなげることによって、労働者がメンタルヘルス不調になることを未然に防止することを主な目的としたものです。
(厚生労働省HPより)
従業員規模の大きい企業では、個人のストレスの程度を可視化できるだけでなく、集団分析によって部署や属性ごとのストレスの高低が比較でき、職場環境の改善点が示されるという利点があります。
一方で、小規模事業所では個人の回答が大きく影響しやすいことや、事業所内での比較が難しいことから、集団分析の活用が進んでいない側面もあります。
弊社では、10人に満たない小規模な事業所ではありますが、法定義務のある事業所と同様の手続きでストレスチェックを実施しています。
今回は2020年から2022年の経年比較を一部ご紹介しながら、ストレスチェックからわかる弊社の課題点などをご紹介いたします。
健康経営※に取り組む皆様の参考になりますと幸いです。
ストレスチェックの集団分析データ
弊社で行ったストレスチェックの結果から、(従業員の同意を得て)レーダーチャートの一部をご紹介します。
レーダーチャートは、個人結果として返却される内容と同様に、ストレスチェックの結果を1点~5点の範囲で表したものです。数が大きいほど良い結果であり、1に近づくほどストレスフルな状態を意味します。
弊社で行った2022年ストレスチェックでは、レーダーチャートの全項目平均が3.8点と良好な値です。
一方で、項目ごとに見てみると、身体愁訴、仕事の質的な負担では数値が低く、上司からのサポートに比べて同僚からのサポートが低いという結果が示されています。
質的な負担やサポートの低下は、従業員の専門性や業務の効率化によって、質的な負担が大きい責任感のある仕事を単独で行うケースが増えていることを反映しているのかもしれません。
2023年度は、社内コミュニケーションを増やすことを目的とした取り組みも増やしていますので、話しやすい社内風土が業務面でも発揮できるよう工夫していく予定です。
2023年5月に行った社内アンケートでは、VDT作業による肩こりや腰痛、運動不足といった課題があがりました。
身体愁訴が強いというストレスチェック結果とも重なります。
3年の経年比較では僅かに上昇していますが、身体症状はプレゼンティーイズムの要因となりますので、しっかりと改善に取り組む必要があると考えました。
2023年は、作業環境改善や休憩を促進するような工夫をしています。
すぐに数値として効果が出るかはわかりませんが、経年のデータを追っていきたいと思います。
わたしたちの取り組み
VDT作業について
身体愁訴の強さについて、健康経営推進会議での話し合いや社内アンケートの結果から、VDT作業による肩こりや腰痛といった課題が示唆されました。
2023年は、VDT作業の環境測定・改善から始め、アプリ・社内掲示を活用して休憩を推進しています。
社内コミュニケーションについて
仕事の質的な負担については、それぞれが専門職であることも踏まえると、働きがいと表裏一体な側面もあると考えられます。
そのため、直接的な介入は行わず、社内コミュニケーションの促進によって同僚からのサポートを向上させることで、間接的に仕事の負担感を減らすことができるのではないかと取り組みを進めています。
2023年は、イベントの実施や水耕栽培を通して、社内コミュニケーションの促進が実感されているという結果が示されています。
経年変化を捉えられるストレスチェックの指標でも向上が見られるのか、しっかり集計をしていきたいと思います。
最後に
I-QUONの従業員は健康度が高く、より良くするための課題点を見つけるのが難しいと感じることもありますが、ストレスチェックの数値を見てみると職場の現状が非常によくわかります。
職場に課題を感じている事業所様にも、課題を見つけること自体に困っている事業所様にも、規模の大小に関わらずぜひストレスチェックを活用していただきたいと思います。
※健康経営は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。
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